千種の古城を確認する会

2020年11月7日2 分

往古の時を超えて輝く遺構!「奥西山さんぽ」で確認した遺跡 No.1

最終更新: 2021年1月16日

※ 新たな驚きの大発見

 「千種の古城を確認する会」では、昨年の「奥西山さんぽ」の事前調査によって「野たたら製鉄」の炉を4基確認していました。「鉄滓(てっさい=スラッグ、俗称カナクソ)」の採取だけでは「野たたら」の存在は全く分からないのです。しかし、「鉄滓」の採取とボーリング調査の併用によって炉跡を確認することができました。

「たたら製鉄」は、江戸時代中期以降に「永代たたら(大規模たたら)」が、営業をはじめます。そして、この時代にも今で言うならば中小企業に当たる昔ながらの「野たたら(小規模たたら)製鉄」も同時並行で各所で生産に当たっていました。「野たたら製鉄」は、その原料にペレット状に粉砕された鉄鉱石か、「砂鉄(真砂砂鉄)」を使用し、「木炭」の燃焼による高温度で還元して、冷却の後に「鉄塊」 として取り出しました。「鉄鉱石」の有る間は、「チタン」成分が少なく、より低温で還元できる為に、これを積極的に使用しました。千種町内でも原料として用いた「鉄鉱石」の原石を既に相当量、採取しています。

 しかし、鉄鉱石が枯渇してきますと、「真砂砂鉄」の活用が増加してきます。砂鉄は採取の場によって、「山砂鉄」・「川砂鉄」・「浜砂鉄」等と称されますが、いずれも地下のマグマが冷却して形成された「火成岩」、その風化した残留物なのです。この「真砂砂鉄」の確保は、土砂と砂鉄の比重の違いを利用して、水選で入手しました。

「鉄穴流し」の上流部で削平された花崗岩質の山肌

 最も一般的な「山砂鉄」を採取する方法は、「鉄穴流し(かんなながし)」という方法が採られました。『鉄山必要記事』に記載されている「鉄穴流し」の方法を見ますと、採取段階と洗鉱段階の二段階の事業(仕事)で、砂鉄が選別され、採取されていました。

 より詳しく各段階を見ますと、先ず「真砂砂鉄」を含む花崗岩質の山を選んで、 その山肌を切り崩し、豊富に水の流れる水路(走りと呼ばれる)に落とし込みます。この水路を強く流されていく間に土塊は細かく砕かれ、「土砂」と「砂鉄」が次第に分離され 「洗場(あらいば)」に送られます。そして、大池、中池、乙池と、池ごとに足し水も加えながらかき混ぜて、土砂と比重の重い「砂鉄」を選別していきます。土砂は下流へと流しながら「砂鉄」のみの純度を高め、最終的には純度が70~80%程度の「真砂砂鉄」として採取し、それを乾燥させ、「たたら製鉄」の原料に使用しました。

「鉄穴流し」の行われた走りと大池の入口

 今回新たに発見された遺構は、この一連の工程がすべて残存している生産地で、全国的にも類を見ない極めて貴重な遺跡です。

         追記 = 「記載内容は著作権で保護されている部分があります。」

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